黒部川 上の廊下 1985年8月9日(木)〜
東京で、お盆休みが10日間ある会社に入った。同時に、「銀座山の会」というオールラウンドに活動している会に入会した。でも、その夏休みを利用したのはわずか2回だった。つまり、2年経たずに辞めた。その1年目は、黒部川の上の廊下。沢は学生時代からやっていたので、憧れの山域であった。 1日目:早朝、大町駅に着く。ここから扇沢へ、そして立山黒部アルペンルートの関電トンネルをトロリーバスで抜け、まだ見た事のない黒部ダムへ、 |
さらに湖岸を歩き「平の渡し」に乗って奥黒部ヒュッテまで、というのが初日の予定であった。ところが、扇沢までの道が土砂崩れ、通行止めになっていた。 入山ルートを変更し、七倉から入る。船窪岳を越え、針ノ木谷を下り、ヒュッテへ、というコース。今、市販のマップを見ているが、コースタイムで14時間50分もあるではないか。ダムコースだと6時間なのに。結局、行くしかないので25キロぐらいのザックを背負って登って下った。なんとか日没までに到着した。幕営。 |
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2日目:いよいよ上の廊下の遡行開始。小雨だったような記憶。水量はそれ程多くないと、2回遡行しているリーダー、砂沢さん。だから、高巻きをせずに、水線通しに進める。へつり、泳ぎはどんどん出てくるが、高巻きの怖さ、面倒くささに比べたらその楽しいこと。下の黒ビンガ、口元のタル沢、上の黒ビンガ、立石奇岩と美しい光景の中を進む。薬師沢小屋まであと1時間くらいの、大東新道が見える辺りで幕営。 | ||
テント張り、食事作り、岩魚釣り、焚き木拾い、これらを分担して行ない、釣れた1尾の岩魚を皆で食べながら、焚き火を囲んで楽しい夕食。沢はこれが楽しい。 3日目:雨。薬師沢小屋を越え、上流へ向かうが、雨が激しくなってきた。テントを張れる場所も見つかりそうにないので、今日は停滞にしようか、と小屋に引き返す。素泊まり4名、朝9時半のチェックインとは優雅。 |
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自炊部屋でEPIでお茶を作る。横でラーメンを作っている人、どこかで見たことのある いかつい顔だ。で、ねぎを刻んでいる手をみると、やはり!指が無い。小西政継さんであった。 この日はひたすらうだうだして過ごした。 |
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4日目:くもり。出発。1時間程で赤木沢出合い。素晴らしい所だ。自然が作ったプールの中を、泳いで遡行。高巻きルートもあるんだけど、泳いだほうが楽しいところ。 ここから上流、ひたすら河原歩き。そして、黒部源流、最初の1滴が出ている所で水を飲んで、稜線に出た。三俣蓮華岳を越え、双六小屋にて幕営。夕方小屋の前を通る |
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と、何やらテレビの前に人だかり。日航ジャンボ機が消息を絶ったとのニュース。そう、御巣鷹山に墜落したあの事故の起こった日であった。
5日目:鏡平を経て新穂高温泉に下山。富山県人として行っておきたかった、憧れの上の廊下、素晴らしいリーダーとメンバーのおかげで行くことが出来た。山岳会の良さを実感した夏合宿であった。 |
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8月9日 8月10日 |
8月11日 雨 7:30 CS発 7:55〜8:15 薬師沢小屋 8:30〜9:05 R1 小屋に戻り、泊まることを決定 9:30 薬師沢小屋 チェックイン 8月12日 6:25 小屋発 7:05〜15 R1 赤木沢出合 8:00〜15 R2 8:30 祖父平 9:30〜10:00 R3 登山道通過 11:00〜11:15 R4 11:27〜12:05 R5 岩苔乗越 12:30〜12:35 R6 ワリモ岳ピーク 13:05〜13:15 R7 鷲羽岳ピーク 13:50〜14:10 R8 三俣山荘 14:50〜15:10 R9 分岐 16:10 双六小屋 CS |